※園だよりコラムの転載です。

先日の運動会では、「オズの魔法使い」をテーマに、子どもたちの大冒険が繰り広げられました。まるで物語の世界を旅しているかのような時間の中で、子どもたちは一生懸命からだを動かしたり、仲間と力を合わせたりと、生き生きとした姿を見せてくれました。それに加えて、リレーや徒競走など「これぞ運動会!」という競技もあり、とてもバラエティ豊かで楽しい一日となりました。

大人の目から見ると、運動会は「行事」であり、教育的な視点からは「身体能力の発達を促す場」や「目標に向かって努力する経験」といった位置づけがなされることが多いかもしれません。しかし、子どもたち自身にとっては、もう少し違う意味があったようにも思えるのです。

それは、子どもたちにとって、運動会は「遊び」そのものであった、ということです。

フランスの思想家ロジェ・カイヨワは「遊び」を4つのタイプに分類しています。「競争(勝ち負けを楽しむ)」「運(偶然にゆだねる)」「まね(ごっこ・なりきり遊び)」「めまい(ぐるぐる・ふわふわする感覚を楽しむ)」の4つです。この4つの分類に照らしてみると、今回の運動会はまさに多様な「遊び」が重なり合った場だったことが分かります。リレーには「競争」があり、演出や場面によって「運」の要素も生まれ、「オズの魔法使い」の世界でキャラクターになりきることは「まね」の遊びそのもの。そして、思いもよらない動きや、体がふわっと揺れるようなスリルを楽しむ「めまい」も、それぞれの競技から感じられました。

大人の目には、1つ1つの競技が「行事」(1回きりの特別なイベント)として映るかもしれません。しかし子どもたちにとってはそれらがひとつにつながり、夢中になれる「遊び」の世界となっていたのではないでしょうか。もし運動会が、単なる「行事」ではなく、子どもたちの「遊び」として経験されていたのだとしたら、その経験はこの先、日常の遊びの中にも、きっと自然と息づいていくのだろうと思われます。

行事は一度きりの特別な日、と思われがちですが、子どもたちにとっては日々の生活に続いていく大切な体験のひとつなのだろうと思います。