CIEC(コンピュータ利用教育学会)の全国大会、2024PCカンファレンス(8/17-19@東京都立大)にて、生成AI活用の授業実践について発表します。小4・総合にて実施した生成AI×歌詞創作の授業についての報告です(筆頭発表者は岡野健人さんです)。生成AI活用の授業実践がつぎつぎと報告されていますが、その末席にこうした実践もあるのだと加えていただけたら嬉しいです。

この実践は、生成AIについて教えようと大上段に構えたものではなく、オリジナルの曲をつくりたいという先生と子どもたちの思いから進められていったものであり、そこで、いわば「偶然」のように生成AIを使ってみたら、ものすごく歌詞創作が深まったというものでした。当日どこまでうまく説明できるかわかりませんが、生成AI活用における、文脈とか、真正性とか、偶然性とか、そういうことのだいじさを考えています。

思い出話。私の修士論文は、かつてミュージシャン活動をしていた私(とバンドメンバー)と中学生との曲づくりの実践でした。私のいた専攻は「カリキュラム開発専攻」という所であり、「どのような意図でカリキュラムをつくったのか」を一生懸命説明することに院生は皆、躍起になっていました。でも私は、曲づくりのレクチャー、ステキな歌詞のつくりかた、といった指導はまったくせず、ただただ曲をつくる時間を子どもともにしていただけでした。意図的にカリキュラムをつくったのかどうか、もっというと「カリキュラム開発」とは何だったのか、今もよく分かっていません。そんな訳で、しっかりとカリキュラムを組み立てようとする院生の仲間たち(現場の先生も多かった)には、それがなんなのか、まるで分かっていただけなかった……若者がふざけてるだけだ、と思われていたはずです。それっぽい指導案も書けず(きっと能力ではなく笑)、あきれられた光景の記憶もあります。

そして時は流れ。十数年ぶりに曲づくりの授業にかかわりました。「カリキュラム開発」の反省もなく、今回も分かりやすいレクチャーはしませんでした。でも、おそらくうまくいった。当時はミュージシャンとのかかわりから表現を探っていたのが、今回は生成AI。そこにおもしろさと違いと、なつかしさと一貫性を思うのでありました。これは余談です。

https://conference.ciec.or.jp/2024pcc/

生成AIを活用した歌詞創作授業の試み
岡野健人・阿部学・下大澤翔吾
小4・総合の枠組みにおいて、卒業する6年生へ送るオリジナルの歌をつくるという実践を行った。担任教師らの願いは、学年全員の思いをふまえた歌詞をつくるということであった。しかし、大人数で歌詞をつくりあげることは容易ではない。そこで、生成AIを活用した創作活動に取り組んだ。学年全員から歌詞に取り入れたい言葉やアイデアなどを出してもらい、そのデータを生成AI(ChatGPT)に読ませた上で「全員の思いを反映させた歌詞のアイデアを出してほしい」という主旨のプロンプトを実行しながら創作活動を行った。実践の過程・結果からは、何度も生成AIとやりとりしようとする姿があったこと、生成AIの活用を契機に子どもたちのモチベーションが上がったこと、教師の想定以上に詞のクオリティが上がったこと等がうかがえた。今回の実践事例をもとに、生成AIを用いた創作授業のあり方をより実証的に探ることが今後の課題である。