3年前の2021年4月に次の投稿をしていました。http://abemanabu.net/archives/1761

2017年に上梓し、ここのところずっと欠品となっておりました伊藤晃一君との共著『授業づくりをまなびほぐす』(静岡学術出版)を、オンデマンド版として再発しました。人の思考は進歩してしまうものでありまして(進歩していると思い込んでしまうという方が正しいかも)、何ならこのまま絶版でも良いかとも思ったのですが、もう少しだけ生きながらえさせてみようかと思った次第です。と言いつつオンデマンド版ということで、永遠の生命を与えることも可能にはなったのですが。

「絶版でも良いか」「永遠の生命を与える」というイキった言葉に恥ずかしくもなりますが、授業づくりをまなびほぐすは先日本当に絶版となりました。経緯は不明なのですが出版元が廃業ということで、仕方ありません。他の出版元から出すということも可能だったのですが、このまま風に吹かれて消えていくのも一興かと思った次第です(またイキっている)。

それはそれとして、この本を手にとってくださった皆様には、本当にありがとうと言いたいです。まえがきにちょっと書いているのですが、お蔵入りしそうだった原稿になんとか光を与えたいと思っていたところ、幸運にもこの企画が進みました。生来のインディーズ精神からか、この本はカバー、中身、校閲もふくめすべて(奥付以外!)を自分たちでやってみた本でした。それ故に至らぬ部分も多々たたたたたあったと思うのですが、一方でそれがなぞのエネルギーに変換されていたように思います。うなずいてくれる方もいると思います。ひとつひとつの論考も今読むと粗くて仕方のないものだと思うのですが、スマートに論文を書いたりカッコよく開発教材を発表したりするだけでなく、こんなふうに授業づくりにもんもんと向き合う過程をさらけだすことが、授業づくりに勤しむ自分たちにとってはとても大事なことでした(著者ふたりとも、授業スタイルは違えど、ノーガード戦法がベースになっていることは共通していたと思います笑)。そしてそれがまた次の授業につながっていく……。こんな私たちにつきあってくれて、本当にありがとうございました。

この本の中では、私が昔から尊敬している影響を受けた方々の授業づくり論にも触れてきました。表現は軽やかに演出しましたが、自分なりにその重さを作品として表したつもりです。絶版ということでこれは「終わる歴史」な訳ですが、きっとどこかで「続いていく歴史」もあるはずで、自分自身も含め、「この本」の今後に期待したいところです。(自分がナンバーガールを初めて見たのは再結成時だ)

もうひとつ。

もうひとつ。本書を出した後、それほど遠くない時期に、続編を出したいなと思っていました。『教材づくりをまなびほぐす』という題で、「授業づくりをクリエイティブに!」という本書とは真逆の「教師のクリエイティビティを否定する!」という字面だけ見たらショッキングな議論をしたいと思っていました(もちろん、否定しつつ肯定し、肯定しつつ否定するつもりなのですが)。……が、なかなか事は予定どおりに進みませんね……苦笑。この続編で語りたいことは、また別のかたちで提出することになりそうです。というか、まだ、「できたらいいな」と妄想している段階です。

これは、今まったくかたち(文字)になっていませんが、着実に実践中です。教育の諸問題を考えるときに、教材の可能性はもっとあると思っています。教材とは何か、まだ誰もよく分かってはいないのではないでしょうか。続く。