今年度、柏市立土小学校よりご依頼をいただき、年間をとおして校内研究の支援にうかがうことになった。土小学校では、昨年度まで、地域と協働して学ぶ総合・生活の新たなカリキュラム開発を進めてきたとのこと。今年度は、それに加え、日々の教科学習を探究的な学びへ改革することと、両者のシナジーによる新たな学びのモデルを探ることを目指している。すでに3回お邪魔しているが、毎度刺激的である。

本日6/1、研究のキックオフという位置づけで、先生方へ向けて講演を行った。「探究的な学びを支える10のキーワード」と題し、自分がこの業界で20年やってきたことをぐるりと振り返り、文字通り「探究的な学びを支えるキーワード」を抽出し、解説した(私の研究を知ってくださっている方は、下記のキーワードが「ああ、あの話ね」と想像できるものだとは思うのだが、それでも改めて省察し、再解釈をしたつもり)。個人的に、これまでを振り返るよい機会となった。

せっかくなので、ここにメモしておく(10個目の提示の仕方がずるく、「10」のキーワードじゃないじゃん、というツッコミが聞こえてくる)。いずれ再構成してまとまった文章にしてもよいかなと思っている所。

探究的な学びを支える10のキーワード
1.「正式な依頼」と「利他的な学び」
2.「志」をともにし「作業」を別にする
3.本気で「ごっこ遊び」する
4.「学びのドーナツ論」を実践に生かす
5.「リソース」と「リミッター」
6.「センス」と「タイミング」
7.演出家的発想のススメ
8.授業を「ゲーム」というまなざしでとらえる
9.「問いたくなる」心理を想像する
10.その他いろいろなアイデア(GIGA時代だからこその「現地主義」、コンテンツ飽和次第だからこその「教材発掘」、身体で学ぶということ、教科でもものづくり、「オタク力」研究をどう見る、「自由」だからこその「不安」etc.)

解説の後のディスカッションを受けて、さらに追加で次のことを語った。
・理解度・達成度だけでなく、エピソードや子どもの姿で語ってみよう(幼児教育の学びの捉え方)
・作品を残すということ、先行研究を大事にすること(探究の対象は何か? 文化、社会)。
・「たのしく探究したい」と「教科の内容をしっかりおさえたい」を「2つの分水嶺」として捉えよう。
・探究が何なのかを探究しよう。仮説検証型ではなく、仮説生成型で進めよう。エスノグラフィー、文化人類学。研究にも色々ある。