敬愛大学教育学会紀要・第3号に次の原稿が掲載されました。

阿部学・岡野健人(2024)「いじめ問題の調停を模擬体験するワークショップをデジタルゲーム教材化する試み」敬愛大学教育学会紀要、第3号、pp.22-31、2024年2月

<あらまし> いじめ防止に資する新たな教材デザインのあり方を探ることを目的として、「模擬調停」というワークショップ型の学習プログラムをデジタルゲーム教材としてデザインする可能性について検討をした。ノベルゲームの形式で制作した試作版についてテストプレイを行ったところ、プレイヤーが感じる葛藤の具合を検討することや、テキストやビジュアルを調整すること等が課題として示された。テストプレイの結果をふまえて完成版を制作し、本実践を行っていくことが今後の課題である。
<キーワード> いじめ、模擬調停、デジタルゲーム、教材デザイン

これは阿部ゼミの卒業生である岡野さんとの共同研究で、弁護士の真下麻里子さんによる「模擬調停」といういじめ問題について考えるためのワークショップを、私たちが探究しているゲーム型の教材としてリデザインできないかという試みについて記したものです。「模擬調停」ワークショップには私も参加させていただいたことがあります。非常に濃密な体験ができるものなのですが、もしそのエッセンスを外さずにゲーム化できたなら、より汎用的に実践していけるのではと考えました。濃密さと汎用性という逆ベクトルのような方向性をうまく織り合わせることはできないかと検討することが、難しくも面白いものでした。本稿は、構想意図の説明が中心の中間報告的なものになっているのですが、ご関心があればご覧いただけましたら幸いです。今後は実践と効果検証などを行っていきます。

話は変わりますが、本学で教育学部ができて創刊されたこの紀要ですが、今回が第3号で、次年度は第4号。いわゆる完成年度ということになりますね。早いものです。この3、4年のあいだにも学校教育はますますむずかしい状況になりつつあります。研究も教育ももっとがんばっていかねばと思います。