この夏,敬愛大学阿部研究室は株式会社LITALICOと連携し,「企業の取り組みに学ぶインクルーシブ教育」という授業(集中講義)を企画・実施しています。本学・国際学部には「国内スクーリング」という教員企画による授業があり,今回阿部もはじめて企画をしました。昨年度の企画段階では,「スクーリング」という名称のとおり,本社や教室などを訪問させていただくプランを考えていたのですが,その後のコロナ禍……! 実施を見送ってもよいかとも思いましたが,コロナに負けず全日程遠隔での実施とすることにしました。柔軟にご対応くださったLITALICOのみなさまには本当に感謝です。

いきなり余談ですが,LIATLICOさんには,2017年の日本教育工学会全国大会のワークショップ企画「ゲーミフィケーションとケアとの対話」に野口晃菜さんにご協力をお願いして以来,こうしたテーマについて深めたいと思った際にはいつもお世話になっております(いつもすんません)。その時々で皆様にうかがう話はいつも興味深く,こんなふうにポジティブで創造的にインクルーシブ教育に携わっている方々がいるのだなあ,すごいあな,という思いが自分の中にぽつりぽつりと溜まってきていたのでした。

他方で,ここ数年,インクルーシブ教育の発想と現実とのギャップに悩む学生らの声を聞き,専門ではないながらも何か学生らに対して与えられるものはないかとずっと考えていました。内容にしばりがあり,コマ数も多い教職課程においては,学内で教えられることにも限界があります。現場の状況も様々であり,「あとは現場で学んで」で終わるのもどうか。悩み続ける学生たち。学校教育には制度や環境の制約も多く,ともすると「困った…」と思ったまま袋小路から抜け出せなくなってしまうかもしれない。

教職課程で学んでいると,学校現場で困っている事・人ばかりに目がいきがちになるかもしれませんが,一方で社会の側に目を向けると,様々な担い手がいることが分かります。その方たちは,今の自分たちとはちょっと違った価値観や方法論をもっているかもしれません。そちらへ向けて窓を開けてみることで,何かすっと風が吹いタリしないか?

インクルーシブを実現する方法論にだたひとつの正解がある訳ではありませんが,だからこそ,ひとつの企業であるLITALICOさんから,抽象的ではない「LITALICOさんなり」のお話を具体的にうかがいたい。そのお話を聞きくことをとおして,自分の悩みや価値観を相対化して捉えられたり,自分にも何かできることがあるんだとポジティブで創造的な思いを持ったりしてほしい,と思いながら授業を進めています。また,教職以外で教育を支える仕事があるのだということも,「誰もが教育に貢献する社会」へ向けて,知ってほしいなと思っています。(そういう意味で,教職志望以外の学生も参加してくれているのは,うれしいことです)

授業は数回にわたり,今(9/10現在)まさに実践中です。すべての日程が終わったら,詳細について改めてまとめたいとも思っています。